食品をネット販売で取り扱う場合、商品ページやカートの準備だけでなく、食品衛生法に基づく営業許可・届出や、食品表示法に基づく表示義務への対応が欠かせません。これらを後回しにしてしまうと、販売開始が遅れたり、モール側の出店審査で止まってしまうことがあります。本記事では、食品のネット販売に必要な許可と手続きの基本を整理します。法令の適用範囲や最新の運用は変更される場合があるため、実際の申請前には管轄の保健所や専門家に確認することをおすすめします。特に複数のモールやSNS経由の販売を並行して展開する場合は、許可・表示・広告表現のすべてを販売開始前に一度に整理しておくと、後からの手直しを減らせます。
食品衛生法における営業許可と営業届出
2020年6月に施行された改正食品衛生法により、HACCPに沿った衛生管理が原則化され、従来は許可対象ではなかった小規模な事業者も「営業届出」の対象になりました。食品を扱う事業は大きく「営業許可が必要な業種」と「営業届出で済む業種」に分かれ、どちらに該当するかは取り扱う商品の種類や製造・加工の方法によって異なります。
| 区分 | 対象の例 | 手続き |
|---|---|---|
| 営業許可が必要な業種 | 菓子製造業、そうざい製造業、飲食店営業など | 保健所への許可申請・施設の現地確認 |
| 営業届出で済む業種 | 許可業種に該当しない小規模な食品の取り扱い | 保健所への届出書の提出 |
自社が製造まで行うのか、OEM先に製造を委託するのかによっても、どちらの事業者が許可・届出を取得するのかが変わります。食品OEMを活用する場合の表示責任の考え方は「食品OEMとは|自社工場を持たずにEC・TikTok Shopで販売する仕組みと注意点」でも触れています。
HACCPに沿った衛生管理
改正食品衛生法では、原則すべての食品事業者がHACCP(危害要因分析重要管理点)に沿った衛生管理を行うことが求められています。従業員50人未満の小規模な事業者は、簡略化されたアプローチ(手引書に基づく衛生管理)が認められており、大企業と同じ水準の管理体制を一から構築する必要はありません。自社の規模に応じた手引書を確認し、衛生管理計画を整理しておくことが基本的な対応になります。
食品表示法に基づく表示義務
食品表示法では、食品の製造者・加工者・輸入者・販売者に対して、名称・原材料名・添加物・アレルゲン・内容量・賞味期限(消費期限)・保存方法・製造者情報などの表示が義務付けられています。これらはネット販売であっても、商品ページまたは実際の商品ラベルで確認できる形にしておく必要があります。一括表示の具体的な項目や文字サイズのルールは「食品表示ラベルの作り方|一括表示の項目と文字サイズの決まり」で詳しく解説しています。
景品表示法(景表法)の注意点
商品ページの表現にも注意が必要です。景品表示法では、実際の商品の品質や効果よりも優良に見せる表示(優良誤認)や、実際の価格より安く見せる表示(有利誤認)が禁止されています。「業界最高」「必ず痩せる」のような根拠のない最上級表現や効果の保証は避け、実際に確認できる事実や数値に基づいた表現を使うことが基本です。
検算できる例|許可取得までの準備期間
営業許可が必要な業種の場合、申請から許可取得までに保健所の現地確認を含めて2〜4週間程度を見込むことが一般的です【推測】。これに加えて、HACCPに沿った衛生管理計画の整理や、食品表示ラベルの作成・確認期間も必要になります。
| 工程 | 期間の目安 |
|---|---|
| 営業許可の申請〜取得(現地確認含む) | 2〜4週間【推測】 |
| 衛生管理計画の整理 | 1〜2週間【推測】 |
| 食品表示ラベルの作成・確認 | 1〜2週間【推測】 |
これらを販売開始の1〜2ヶ月前から並行して進めておくと、モールへの出店申請やTikTok Shop・楽天・Amazonでの販売開始のタイミングに遅れが出にくくなります。
よくあるご質問
Q1. ネット販売専業でも営業許可・届出は必要ですか?
A. 必要です。実店舗を持たないネット販売であっても、食品を製造・加工・販売する場合は食品衛生法に基づく許可または届出の対象になります。
Q2. OEM先の工場が許可を持っていれば、自社は許可を取らなくてよいですか?
A. 自社が販売のみを行い、製造・加工を一切行わない場合は販売業としての届出で済むケースもありますが、どちらが何の許可・届出を担うかは契約内容や事業形態によって異なるため、個別に確認が必要です。
Q3. 食品表示法と食品衛生法はどう違いますか?
A. 食品衛生法は製造・加工・販売の安全性に関する許可や衛生管理を定める法律、食品表示法は商品ラベルなどの表示内容に関する法律です。両方への対応が必要になります。
Q4. SNSでの商品紹介文にも景品表示法は関係しますか?
A. 関係します。商品ページだけでなく、TikTokなどのSNS上の紹介文や動画内の表現にも、優良誤認・有利誤認に当たる表現がないか確認することが重要です。