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シーズナル商材のCVR250%UP!食品ECの設計術

目次

食品EC「ギフト市場」攻略の極意:Gastroduce Japanが解き明かす売上爆発戦略

食品EC市場における「ギフト」は、単なる売上の一角ではなく、特定の時期に爆発的な需要を生み出す巨大なマーケットです。しかし、その特性を深く理解し、適切な戦略を実行しなければ、この大きなチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。食品専門ネットショップコンサルティングのGastroduce Japanは、数々の成功事例を通じて、ギフト市場の攻略法を確立しています。本稿では、同社のノウハウに基づき、ギフト市場の特性、売れる商品の見つけ方、効果的な広告戦略、そして商戦期ごとの具体的な戦術を詳細に解説し、貴社のECビジネスを次のステージへと押し上げるための羅針盤を提供します。

ギフト市場の特性とアプローチ方法の基礎知識

食品ECにおけるギフトは、大きく「シーズナルギフト」と「平常時ギフト」に分類されます。この二つのカテゴリーは、それぞれ異なるアプローチ方法を必要とします。

1. シーズナルギフト
バレンタイン、ホワイトデー、母の日、父の日、敬老の日、中元、歳暮などがこれに該当します。特定の時期に需要が集中し、市場規模が非常に大きいのが特徴です。

2. 平常時ギフト
内祝い、お祝い、誕生日、プチギフト、ブライダルなどが含まれます。時期に関わらず年間を通じて発生する需要ですが、シーズナルギフトに比べて個別の需要規模は小さい傾向にあります。

ギフトマーケットの最大の「欠点」
ギフト市場の最も重要な特性であり、同時に最大の「欠点」とも言えるのが、「贈る側が購入し、贈られた側が消費する」という構造です。これにより、リピート購入の割合が元々低くなる傾向にあります。そのため、ギフト市場においては、リピート率に過度に期待するのではなく、いかに効率よく新規顧客を獲得できるかという点が、戦略の最重要課題となります。新規比率が高いマーケットであることを常に念頭に置く必要があります。

アプローチ方法の違い

  • シーズナルギフト: バレンタイン、ホワイトデー、母の日、父の日など、明確な期日がある商戦では、直前になると非常に高いCVR(コンバージョン率)が見込めます。この特性を活かすためには、検索広告や楽天SEOをしっかりと行った上で、楽天特集広告を積極的に利用することが効果的です。
  • 平常時ギフト: 必要としている人が限定されるため、プッシュ型広告では効果が出にくい傾向にあります。平常時ギフトは、ユーザーが能動的に検索して探しに来ることが多いため、検索広告やモール内SEO(検索エンジン最適化)が非常に重要になります。

ギフト商戦のシンプルながらも奥深い考え方
ギフト商戦は、主に「新規顧客」に販売することを目的とします。そのため、売上を最大化するための考え方は非常にシンプルです。

  1. アクセス (UU): どこから、どのように顧客を呼び込むか。
  2. 転換率 (CVR): 適切な商品と、顧客の購買意欲を高める適切なページを提供できているか。
  3. 客単価: 市場の相場に合った適切な価格設定ができているか。

特に強調されているのは、「ギフト市場は、まったく価格競争に陥らない商戦である」という点です。「価格を下げれば売れる」と考えている業者は、この商戦には参入しない方が良いとまで断言されています。顧客のニーズに合った価格設定、魅力的な商品、そしてそれを効果的に伝えるページ構成こそが、爆発的な売上を創出する鍵となります。

シーズナルギフト事例詳細:母の日の成功から学ぶ

母の日はシーズナル商戦の典型例であり、その成功事例から多くの教訓を得ることができます。Gastroduce Japanは、母の日商戦で楽天総合デイリーランキング1位・2位を筆頭に、総合リアルタイムランキング20位以内に7商品をランクインさせるなど、目覚ましい実績を上げています。ふみこ農園やマイハニーといったクライアントがこの成功を収めています。

シーズナル商戦のサイクル:仮説→実行→検証→急拡大
シーズナル商戦では、このPDCAサイクルを高速で回すことが成功の鍵となります。過去のデータに基づいた仮説を立て、それを実行に移し、結果を詳細に検証することで、次なる商戦での急拡大を目指します。

どのような商品が売れるのか?その見つけ方!

最も重要なのは「商品」そのものです。何が売れるのかを見つけるためには、まず「売れている商品を見る」ことが基本となります。

売れる商品のKSF(重要成功要因)
商品レビューやページの内容から、売れる商品のKSFを抽出し、自社の商品開発やページ作成に活かします。

  • 商品特性:
    • 高級品、こだわりを感じる商品、ちょっと手が出せないような商品: 特別感や希少性がギフト需要を喚起します。
    • 健康志向: 「健康でいてほしい」という贈る側の気持ちが伝わる要素(無添加、無着色など)は強い差別化要因となります。特に60代〜80代の母親をターゲットとする場合、健康面への配慮は非常に重要です。事例でも、飲むお酢や梅干しが「健康ギフト」として評価されています。
  • 価格帯: 2,980円〜3,980円のレンジが売れ筋の中心となります。
  • 見た目の魅力: 商品自体はもちろん、梱包やラッピングに豪華さ、華やかさ、彩りがあることが重要です。これをページ上でしっかりアピールする必要があります。花がつかない商品でも、見た目の華やかさやカラフルさで花の要素を補完できる場合があります。
  • 配送対応: 母の日だけでなく、「すぐほしい人」にも対応できる配送体制(できるだけあす楽)が求められます。特にピーク時には、「いつまで注文すれば間に合うか」を明確に、かつ目立つように明記することが、転換率の低下を防ぐ上で最重要ですし、母の日直前まで注文を受けられる体制は、駆け込み需要を拾うために不可欠です。
  • 顧客対応: 楽天初心者の顧客でも不安を感じさせないよう、配送や注文に関する説明書きを丁寧に行うことが求められます。メッセージカードの代筆サービスや、ラッピング方法の選択肢なども顧客満足度を高める要素です。

成功事例からの考察

  • 飲むお酢の事例: 花はつかないものの、見た目の華やかさとカラフルさで花の要素を補完。60代〜80代の母親をターゲットに「健康ギフト」というキャッチフレーズが刺さり、レビューでも健康志向やパッケージの華やかさが評価されています。さらに、母の日当日の配送締め切りを直前まで設けることで、駆け込み需要を完璧に捉えています。
  • 梅干しの事例: 母の日の主流である花やスイーツとは異なる「こだわり品」として、高級志向のニーズを捉えています。健康面を考慮した梅干しという選択が、ターゲット層(60代〜70代の母親)の健康志向に合致しています。梱包、ラッピング、メッセージカードの選択肢などで差別化を図り、直前まで母の日当日配送を受け付ける体制も成功要因となっています。

これらの成功事例を元に、Gastroduce Japanは2016年に「国産素材のスムージー10本セット」を母の日限定セットとして仕掛け、成功を収めています。また、「フルーツコンポートセット」も2017年、2018年、2019年の母の日で成功を収め、3年連続で大幅な売上拡大を実現しています。特に、売上の多くが新規顧客によるものであるという、期日型シーズナルギフトの特徴が顕著に表れています。

広告とアクセスの特質

売れているシーズナル店舗は、売上の多くが新規顧客によって占められています。そのため、いかに効率よくアクセスを獲得するかが重要です。

アクセスの獲得方法

  • 広告: ROAS(広告費用対効果)は商品によって大きく異なります。母の日広告のROASは非常に高く、バレンタイン、ホワイトデー、父の日などのシーズナルは全般的にROASが高い傾向にあります。これは、楽天の特集広告などを活用し、ユーザーの検索ワード(例:「母の日」「母の日 プレゼント」「母の日 ギフト」など)に合わせた広告運用を行うことで、高い効果が得られるためです。
  • 楽天ランキング: ランキング上位に表示されることで、多くのアクセスが見込めます。
  • 楽天サーチ(検索): 検索からのアクセスは非常に重要であり、CVRもランキング同様に高い傾向にあります。

広告運用の注意点

  • 充足率の考慮: 昨年ROASが高かった広告枠に今年は多くの店舗が飛びつくため、充足率が元々低かった広告は費用対効果が大きく落ちる可能性があります。各広告の充足率を毎回記録し、データに基づいて選定することが重要ですし、ROASは広告の良し悪しだけでなく、入稿商材の内容によっても変動するため、両面から分析する必要があります。
  • ROASの目標: 全体でROASが600%ほど創出できていれば、検索やランキング対策をしっかり行うことで、全体ROASを1,000%ほどまで引き上げることが可能です。
  • 検索対策の強化: ランキングに集中しがちな店舗が多いですが、検索対策も非常に重要です。毎年検索ワードが変わるため、何が検索されているかを常に把握し、商品ページや広告のキーワード設定に反映させる必要があります。検索画面下部に表示される関連ワードもヒントになります。
  • 義母割の実施: 「義母割」のように、特定のターゲット層に特化した割引カゴを作成し、広告と連動させることで、効果的な検索対策となることがあります。

物流体制の強化による直前需要の取り込み
母の日などのシーズナル商戦では、直前になるほど「間に合うか」が顧客にとって最重要要素となります。楽天物流RSLの導入やその他倉庫の活用などにより、あす楽対応の出荷締め切り時間を延長することで、ピーク時の駆け込み需要を最大限に獲得できます。売上6,000万円のうち800万円が前々日に売れた店舗の事例は、この物流体制の重要性を物語っています。

父の日商戦の攻略法

父の日商戦も母の日と同様にシーズナルギフトの特性を持ちますが、売れる商品の傾向には違いがあります。

売れる商品のKSF (父の日)
父の日で売れている商品に共通する要素は以下の通りです。

  • 普段食べないような贅沢品: うなぎ、のどぐろ、高級牛、生蕎麦など、特別感のある食品が好まれます。
  • お酒のつまみになるもの: 干物、おつまみ、馬刺し、刺身など、父親の晩酌に合う商品が人気です。
  • 価格帯: 贅沢品は5,000円前後、それ以外は2,980円〜3,500円前後が売れ筋です。
  • 家族で楽しめる商品: 3人から4人前など、家族で一緒に楽しめる量が喜ばれます。
  • 健康志向: 60代、70代の父親への贈り物なので、健康を意識した商品もウケます。

商品を作る際の注意点

  • おつまみ: 2,980円では非常に売れるが、3,980円では売れないケースが多いです。ボリュームがたくさん入っていても、そこまで必要ないという心理が働く可能性があります。
  • 干物など魚系の高級品: 3,980円でも売れます。
  • 黒毛和牛など有名な高級牛: 4,000円〜5,000円でも非常にCVRが高いです。
  • うなぎ: 6,500円ほどでも高いCVRを創出しています。

参考になるページ構成

  • ファーストビューでの商材アピール: 「おつまみベスト9」の事例のように、最初に商品の魅力とコンセプトを伝えることが重要です。
  • コンセプトと強み: 創業年数や商品へのこだわり(例: 「馬肉だけ」「低カロリー・高たんぱく」)を明確に打ち出し、信頼性を高めます。
  • キャンペーン特典の提示: 送料無料、ラッピングサービス、メッセージカード対応など、ギフトならではの特典を分かりやすく提示します。
  • 商品ラインナップの充実: 厳選されたおつまみ、馬肉の様々な部位や調理法、まぐろ佃煮の詰め合わせなど、選択肢を豊富に用意します。
  • レビューの活用: 顧客からの「喜んでもらえた」といった声や、グルメ大賞受賞などの実績を積極的に掲載し、信頼性と購買意欲を高めます。
  • 配送・梱包への配慮: 高級感のある化粧箱や風呂敷、小分けパックなど、ギフトにふさわしい梱包や、あらゆる配送希望に対応できる体制を明記します。

余談:父の日でもスイーツは売れる
意外かもしれませんが、父の日でもスイーツは売れます。特にご年配向けには和菓子が売れることが多く、「健康和菓子」のような訴求ができる商品は強いとされています。また、大口広告購入申請においては、おつまみや海産物が激戦区であるのに対し、スイーツは比較的簡単に良い広告枠を確保できるという実情もあります。

シーズナル商戦の基本的な運用サイクル

年間を通じて行われるシーズナル商戦(バレンタイン、ホワイトデー、母の日、父の日、敬老、中元、歳暮、ハロウィン、福袋など)は、基本的に同じ考え方で仕掛け、データ収集を行うことで、次へと繋げることができます。

シーズナル検索トレンドの5つのフェーズ
シーズナル商戦の検索トレンドは、大きく以下の5つのフェーズで推移します。

  1. 閑散期
  2. 立ち上がり期
  3. 拡大期
  4. 繁忙期
  5. 終息期

この各フェーズに合わせた運用が成功の鍵となります。特に、繁忙期(④のタイミング)にはすでに検索での勝負はついていると考えられます。この時期に検索1ページ目に表示されていれば、それだけで商品は売れる状態になります。楽天の検索順位は、その検索ワードに対する「売れる可能性が高い商品」(流通額、転換率)が上位に来る傾向があるため、検索経由の流通を上位で獲得することが重要ですし、この考え方は、他のモールでも同様に適用できることが多いです。

売上公式とフェーズごとの戦略
「アクセス人数 × 転換率 × 客単価」の売上公式に基づき、各フェーズで以下の戦略を実行します。

  • 閑散期(①)と立ち上がり期(②):
    • 早割: この時期に早割を設定し、顧客にお得感を演出することで、転換率を上げ、売上の山を作ります。これにより、その後の検索やランキングに良い影響を与えます。ポイントを利用した早割は、楽天負担のクーポンが発行されるため特に有効です。10倍→5倍→2倍のように段階的にポイントを下げていく方法も考えられます。
    • クーポン: 早割最終日前日にアクセスが大幅に増加し、転換率が上昇する事例もあります。クーポンならではのお知らせ機能や利用期限のリマインドメールが、爆発的なアクセスを記録する要因となります。母の日などのシーズナルギフトでは、広告購入店舗を対象に楽天負担のクーポンが発行されることが多く、これを早割や期間限定の転換率上昇施策に利用することで、売上をブーストできます。
    • キーワード設定(RPP): 検索ボリュームの多いキーワードを指定し、目安CPCより少し高いCPCを設定して露出を増やします。この時期のROASはあまり気にせず運用し、売れる商品であれば徐々に目安CPCが下がっていきます。なお、ビックワードはマス的な広告度合いが高くなるため、多少の精査が必要です。
    • 商品ページの複製: 基本セット商品に加え、複数個入りセットなどバリエーションを増やすことで、商品数を増やします。これにより、検索広告(オーガニック検索)でヒットする商品が増え、露出機会が大幅に増加します。また、ニッチなニーズ(1人暮らしから10人家族、料理人まで)にも対応できるよう、多様な商品を用意しておくことで、少ないニーズも拾い上げることができます。意外なグラム数やセット内容が売れて検索上位に来る可能性もあります。
  • 繁忙期(③と④):
    • この時期には、目安CPCが高く、商品ROASや指定キーワードROASが低い広告枠は一気に減らします。極論、この時期は指定をせずにRPPを回し、ROAS調整を行います。

早割・早期特典の訴求方法
ポイントやクーポンを実施する場合でも、顧客にしっかり伝わるように意識することが重要です。

  • 商品ファーストビュー、第二画像に入れる。
  • ヘッダーやスマートフォン共通パーツ、スマートフォン共通説明文にも入れる。

「まだ間に合う」体制と「遅れてごめんね」キャンペーン
シーズナル商戦の直前期は、価格よりも「間に合うかどうか」が非常に重要になります。

  • 「まだ間に合う」訴求: 見える場所に、いつまでの注文でいつ届くかを明確にアピールします。地域ごとの最終注文日時や、あす楽対応の有無を具体的に記載することで、顧客の不安を解消し、転換率を維持します。クレジットカード決済を推奨し、銀行振込では間に合わない可能性があることも伝えます。
  • 「遅れてごめんね」キャンペーン: 母の日配送には間に合わないが、商品は受注するというキャンペーンです。早くほしいという需要だけでなく、「当日じゃなくてもよい」という需要も存在するため、これを捉えることで、商戦期後の売上を維持・向上させることができます。これは全商戦で統一して使える戦術です。

バレンタイン商戦の振り返り

バレンタイン商戦は、実は前年の2月からすでに始まっています。

  • 2月〜: 新商品考案
  • 9月〜: 商品開発、発送手配
  • 11月: 大口予算申請
  • 12月〜: 超早割実施(一部店舗)
  • 1月〜: 早割訴求(商品名、ファーストビュー、第二画像でアピール)
  • 2月〜: 「まだ間に合う」に切り替え(2月14日に届くだけでは遅い)。今注文していつまでに届くかが重要。

広告の選定(11月)
過去のパフォーマンスレポートを確認し、ROASの高い広告枠を選定します。ただし、数字だけで判断せず、商品の特性と広告枠の相性も考慮が必要です。例えば、「SNS映えチョコ・スイーツ」のような広告枠は、王道のチョコレート以外の視覚的に魅力的な商品(フルーツ×チョコレートなど)でも高いROASを維持できる可能性があります。

検索対策の強化

  • サジェスト対策: 検索サジェストは常にチェックし、商品名やキーワード設定に反映させます。
  • キーワードのトレンド把握: 毎年検索されるキーワードは変化するため、最新のトレンドを把握し、対策を行います。検索からの流入は、昨年の1.5倍に増加した事例もあります。
  • RPPの活用: RPP(楽天プロモーションプラットフォーム)の広告効果測定レポートを常時チェックし、悪い枠は再入稿するなど、費用対効果の改善を行います。特にSNS映え広告のように、看板画像を変更することでROASが約3倍に跳ね上がった事例もあります。

早割と送料企画の連動
早割と送料企画を複数回に分けて実施し、その都度バナーや商品ページ(第一、第二画像、ファーストビュー)を変更して訴求します。これにより、流通のピークを複数回作り出し、売上を最大化できます。

年末商戦の攻略法:海産物・肉類を例に

年末商戦は、海産物や肉類が主要商材となります。ある海産物店舗の事例では、出店3ヶ月で月商1,000万円超、出店6ヶ月で月商3,000万円超、そして出店2年目には月商1億円近くを達成しています。出店2年目で広告比率5%ほどで1億円近い売上を上げられる理由は、主に「検索の占有」にあります。

モールECの利点と検索の重要性
モールEC(特に楽天、ヤフー)の利点は、各商材ですでにマーケットが確立されており、毎年商戦期には検索経由で多くの顧客が商品を求めて訪れる点です。この検索ワードの上位に入り込むことができれば、少ない広告費率で売上を大幅に伸ばすことが可能です。これは、リピーターだけでなく、広告の純経由でも、ランキングでもない、検索からの流入が非常に大きいことを意味します。

検索の公式
検索順位は、以下の要素で決まります。

  • 検索流入
  • 検索占有
  • ボリュームの多い検索ワードの表示数

そもそも検索規模がある程度大きい商品であることも重要です。海産物であれば、カニ、フグ、イクラ、ホタテ、牡蠣、ブリ、ウニ、マグロといった市場規模の大きいキーワードは売上につながりやすいです。肉類であれば、銘柄よりも「すき焼き肉」「しゃぶしゃぶ肉」「ステーキ」「高級牛」「黒毛和牛」といった用途や品質に関するキーワードを対策し、商品形態に合わせることが重要です。年末にかけて検索されるワードは日々変化するため、随時全品目をチェックし、キーワード設定を最適化し続けることが重要です。

検索順位を上げるための戦術

  • 9月〜早割体制: 楽天のルールに則った上で、「お得感」を演出する戦略(EDLP戦略など)で検索に好影響を与えます。
  • トップページやヘッダーでの訴求: トップページやヘッダーに早割を知らせるバナーやサムネイルを挿入し、店舗回遊率の上昇や離脱防止を図ります。
  • 早割の期間設定: 10月末、11月末、12月15日などに早割の締め切りを設定するのが効果的です。
  • 12月15日以降の大幅値上げ: この時期以降は、価格よりも「まだ間に合う」という点が顧客の優先順位で高くなります。そのため、大幅に値上げしても売上を維持できます。
  • 価格戦略の告知: 最終値上げ日を明確にし、現行価格から最終価格までの期間で、段階的に値上げしていくことを事前に告知します。早割の途中でも価格変更ができるよう、注意書きに記載することも重要です。

早割のメリット・デメリット

  • メリット: 常に「お得感」を演出できるため、価格はEDLPとなり、検索に好影響を与えます。早割期間を区切ることで、高いCVRを創出し、売上の山を作ることができ、ランキングや検索に良い影響を与えます。比較検討ユーザーを取り込むことも可能です。
  • デメリット: 価格を上げる自由度が低くなります。ただし、「まだ間に合う」需要を捉えることで、このデメリットは解決できます。

検索占有の重要性
年末商戦は、検索のシェア争いです。つまり、1ページ目に何商品表示されるかによって、市場が伸びるタイミングでの売上が直結します。特定の検索ワード(例: 「いくら」「いくら 醤油漬け 送料無料」)で上位を完全に占有できれば、非常に大きなアドバンテージとなります。

検索ロジックとユーザーニーズ
検索ロジックはコントロールしづらいですが、「売れる商品」は自然と検索上位に上がってきます。レビューが多いだけでも一気に検索順位が上がることもあります。また、ユーザーが求めているグラム数やセット内容は意外なものもあり、多様な商品を揃えることで、少数のニーズも拾い上げることができます(例: ウニの事例)。

繁忙期の売上推移と「まだ間に合う」戦略
12月の売上推移を見ると、楽天スーパーSALEや値上げ後の最終駆け込みでCVRが非常に上昇しています。これは、「まだ間に合う」という訴求が顧客の購買意欲を強く刺激している証拠です。

年末商戦の反省点と展望
顕在顧客のみを刈り取ろうとすると、ランキング流入が少なくなる傾向があります。そのため、ニュース広告などを増やし、プッシュ型広告も同時に展開することで、点での売上も確保する戦略が必要です。

専門店ECの可能性:価格競争ではない売り方

多くのEC事業者が抱える悩みとして、「他店の安さに勝てない」「良い商品がネットで伝わらない」「広告を買っても売れない」といったものがあります。これらの悩みを解決するヒントは、「専門店EC」にあります。

専門店ECの事例

  • あわび専門店 紀和味: 料亭で使われるあわびを家庭向けに販売。
  • 馬刺し専門店 馬匠: 熊本産まれ熊本育ちの、日本で1%しか流通していない希少な馬刺しのみを扱う。

これらの専門店ECは、価格競争に陥ることなく売上を伸ばしています。例えば、うなぎの最安値店でも、うなぎのシェア1位は取れていないことがあります。父の日のように価格勝負ではないマーケットであれば、専門店でも売上を出すことが可能です。

専門店ECが成功する理由

  • コンセプトと強み: 「料亭で使われるあわびをご家庭で」「日本で1%しか流通しない希少な馬刺し」のように、明確なコンセプトと唯一無二の強みを打ち出すことで、顧客の信頼と購買意欲を高めます。
  • サービス施策: 全額返金保証やレビュー施策を積極的に行うことで、顧客の不安を払拭し、転換率を高めます。全額返金保証を導入したことで、転換率が上昇した事例も示されています。
  • 商品ページの複製とセット展開: 基本セットを作成し、その単純な倍量や様々な個数・グラム数のバリエーションを展開することで、商品数を増やします。これにより、検索広告(オーガニック検索)でヒットする商品が増え、露出機会が大幅に増加します。また、ニッチなニーズ(1人暮らしから10人家族、料理人まで)にも対応できるよう、多様な商品を用意しておくことで、少ないニーズも拾い上げることができます。

「店舗のコンセプト×強み」と「サービス×ニッチまで考えた商品展開」が、売れる店舗の共通点です。ニッチな商品であっても、稼働ページ数を増やすことで、幅広い顧客層をカバーすることが可能になります。

日々の運用:トレンドを捉え、早期需要を獲得する

年間を通じてEC売上を伸ばすためには、日々の運用の中でトレンドを捉え、早期需要を獲得する戦略が不可欠です。

早割戦略と「まだ間に合う」訴求

  • 早割の重要性: 「早割」は、迷っている顧客に早期決断を促し、転換率を向上させる効果があります。これにより売上の山を作り、その後の検索やランキングにプラスの影響を与えます。
  • 視覚的な訴求: 早割の訴求は、単に価格を下げるだけでなく、第一画像、第二画像、ファーストビュー、商品名に「早割」「早期特典」といった言葉を必ず入れ、今買うべき理由を明確に伝えます。
  • 価格の戻し: 早割期間終了後には価格を戻し、その後は「まだ間に合う」訴求に切り替えます。年末の10日間(12月20日以降)は、価格よりも「まだ間に合う」という点が優先されるため、価格を戻しても売上は上昇します。これは、トレンドに乗ることで利益を最大化する戦略です。

アクセスの獲得と転換率向上

  • 予測検索ワードの活用: 予測検索に表示されるワードを常にチェックし、商品名などにもれなく入れ込むことで、検索からの流入を最大化します。
  • RPPの検索ワード設定: 主要キーワードの目安CPCより1円高く設定し、毎日調整することで、転換率が高まれば目安CPCが下がり、オーガニック検索順位も上昇します。
  • 繁忙期のRPP運用: 繁忙期にはビックワードの費用対効果が悪化する可能性があるため、小規模なワードでRPPを運用し、ROAS調整を行います。

専門店ECのさらなる可能性
専門店ECは、総合店よりもユーザーニーズが高く、単価が多少高い商品(1万円以上)でも実際に売れることが可能です。ただし、その商品に「味に自信がある」「品質に強みがある」といった大前提があることが重要です。Gastroduce Japanは、今後も専門店ECの支援を強化していく方針を示しています。

RPP(楽天プロモーションプラットフォーム)の運用方法

RPPは、楽天の検索結果上位に表示されるPR広告であり、その基本的な機能は以下の通りです。

  • 自動運用: 楽天のシステムが、どの商品を誰に、どのキーワードで表示するかを自動で判断します。
  • キーワード・商品の除外設定: 表示したくない商品やキーワードは指定して除外できます。
  • キーワード設定とCPC: 表示したいキーワードを設定し、1クリック単価(CPC)を設定できます。

シーズナル検索トレンドとRPP運用
シーズナル商戦の検索トレンドは、閑散期、立ち上がり期、拡大期、繁忙期、終息期の5つのフェーズで推移します。

  • 閑散期・立ち上がり期(①、②): この時期はまだ検索母数が少ないため、検索順位の逆転が可能です。早割などの転換率施策とRPPのキーワード設定(目安CPCより高めに設定し露出を増やす)を積極的に行い、検索の占有率を高めることで、繁忙期に向けて売れる商品として育てていきます。この時期は足元のROASをそこまで気にせず運用します。
  • 拡大期・繁忙期(③、④): この時期には流通額の絶対母数が大きくなるため、検索流通を逆転させるのは難しくなります。目安CPCが高く、商品ROASや指定キーワードROASが低い広告枠は一気に減らし、極論的には指定をせずにRPPを回してROAS調整を行います。

結論

食品EC市場は、その特性を理解し、データに基づいた戦略を緻密に実行することで、大きな成果を上げることが可能です。Gastroduce Japanが示すシーズナルギフトの攻略法、各商戦期における商品の見極め、広告運用、検索対策、そして物流体制の強化は、まさにEC成功の羅針盤と言えるでしょう。価格競争に陥らず、商品の価値を最大限に伝え、顧客のニーズに合致した体験を提供すること。これが、Gastroduce Japanが提唱する、食品ECにおける売上最大化の極意です。

今後も食品EC市場は進化を続けるでしょうが、本稿で解説したGastroduce Japanの戦略は、その変化に対応し、持続的な成長を実現するための強固な基盤となるはずです。

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