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実際どうなの?楽天市場の食品販売における、広告のFB方法とは?

目次

1. 導入

「RPPを回しても思ったように売れない」「広告費ばかりかさんで利益が残らない」「上司に説明するにも、何をどうフィードバック(以下FB)すればいいのか分からない」

食品ECにおいて、楽天市場の広告運用は必要不可欠な手段ですが、その振り返り(FB)や改善の精度が低いまま、同じ施策を繰り返してしまっている企業も多く存在します。

特に月商100万〜1億円未満のフェーズでは、「とりあえず広告を回す」→「なんとなく見て終わる」→「成果が出ず、広告に不信感が募る」といったループに陥りがちです。

しかし、広告は正しく運用し、目的に沿ってFBを重ねることで、「データの宝庫」へと変わります。
どのキーワードで買われているか? どのバナーでCVR(転換率・購入率)が伸びたのか? どの価格帯が刺さっているのか?——それらすべてが「広告から逆算した商品戦略やページ改善」につながるのです。

本記事では、食品EC支援実績300社以上のGastroduce Japanが、楽天広告のFB方法とその真の目的を、構造的かつ実践的に解説します。

2. 市場背景と課題

楽天市場を中心とした食品ECにおいて、広告費は年々上昇しています。
とくにRPP広告(検索連動型)は、以下のような環境変化が起きています。

  • 出店数の増加 → 広告枠の奪い合い → CPC単価の高騰
  • ランキングロジックへの広告影響の強化
  • 広告CTR(クリック率)・CVRが検索順位にも影響する構造へ

その結果、以前のように「商品力があれば広告に頼らず売れる」時代は終わり、広告を使った戦略的露出設計と改善ループが必要不可欠になっています。

しかし現場では、以下のような「失敗あるある」が後を絶ちません:

  • とりあえず「高売上商品」にだけ広告をかける
  • 「CPCが高いから怖い」と放置
  • 売れなかった広告の理由を「商品が悪かった」と片づける
  • データを見ても「何を見ればよいか分からない」

実際には、広告は**「商品設計・ページ改善・販促企画のインサイト源」**です。
CVRの高いキーワードや、CTRが異常に低いバナーなどから、改善のヒントが山ほど得られるのです。

3. 成功の原則・戦略設計

広告は「売上」だけでなく「学び」を得るための装置

楽天広告(特にRPP、CPC型広告)において成果を出すには、以下のような原則設計が必要です。

① 広告=利益装置 × 情報装置

広告には「利益を出す装置」と「意思決定の材料を集める装置」の両面があります。
初期の広告ROAS(広告費対売上)は赤字でも、「次の打ち手」に活かす目的で使えば十分意味があります。

例:

  • 成約キーワードから「顧客ニーズのズレ」が見える
  • バナー別クリック率から「訴求表現の強弱」が見える
  • 買われていない商品群が「削除対象」だと判明する

② 商品特性 × 購入導線に応じた広告戦略を設計する

  • ギフト系商品
     → CPC広告よりも「ランキング入賞→自然流入」構造を組むべき
     → スケジュール先行型(父の日・敬老の日など)で仕込みが重要
  • 自家需要系商品
     → 日々のRPPでCVR・CTRを調整しながら、自然検索と併走
     → キーワード群の「競合強度」に応じて入札調整が必要

③ 広告FBの目的は「改善アクションの設計」にある

よくある「広告レポートで終わる」ケースでは何も前に進みません。
FBとは「何が良かったか/悪かったか」を数値で振り返り、「次に何をするか」を決めるプロセスです。

【FBで見るべき代表的な指標】

観点指標例解釈軸
流入効率クリック率(CTR)画像訴求/キーワード設計の強弱
CVRコンバージョン率商品名/FV構成/レビュー/価格帯
ROAS広告費対売上利益貢献度/リピート・単価設計
検索語句実際に表示・購入された検索ワード顧客のニーズ・検索行動の見える化

4. 実践ノウハウ・事例紹介

事例①:訳あり冷凍食品を扱うA社(CVR改善型)

課題
RPPでクリック数は多いが、CVRが平均0.8%。広告費ばかりかさむ。

施策

  • 購入された検索ワードを精査したところ、「冷凍 惣菜 おすすめ」など意図が強いワードがCVR高
  • 一方、「訳あり」「安い」などのキーワードはCVR低

→ 検索ワードのマッチタイプを限定し、CVR高ワードに絞った広告運用へ変更

結果

  • CVR:0.8% → 1.7%
  • ROAS:1.1倍 → 2.3倍
  • 広告費:同等で売上は約1.9倍に改善

事例②:ギフト系高級お菓子を扱うB社(訴求改善型)

課題
CTRが異常に低く(平均0.3%)、広告効果が出ない

施策

  • バナークリエイティブを検証したところ、画像が「商品だけ」のパターンが多く、感情訴求が弱い
  • 「母の日/誕生日用/高レビュー」などのバナーをA/Bテストで展開

結果

  • CTR:0.3% → 0.8%
  • ギフト関連キーワードでの自然検索順位も向上
  • 「用途訴求×感情ワード」がCTR・CVRともに効果あり

これらの事例から見えてくるのは、「数字を見て終わり」ではなく、「数字から行動へ」がFBの本質であるということです。

5. まとめ

楽天市場における食品ECの広告運用において、FBはあくまで「広告を目的に沿って活用できているか」を確認・改善するためのプロセス**です。

ではそもそも、広告を使う目的とは何でしょうか?

それは単に一時的な売上を作ることではなく、以下のような「中長期的な戦略の実現」にあります:

  • 商品やブランドの認知拡大
  • 回遊・レビュー・LTV向上を含めた全体設計
  • ユーザー行動データを活かした商品・ページ改善
  • 自然検索やランキング流入を狙った露出起点づくり

つまり、広告は“点の売上”ではなく、“面の成果”を広げるための導線設計の一部です。

しかし多くの現場では、広告が「出すだけ」「数字を見るだけ」の存在になり、本来の目的を見失ったまま、惰性で回されてしまっています。

✅広告活用の本質を見失わないためのFB視点

  1. 今回の広告は「何を達成するため」に出稿したのか?(認知?販売?テスト?)
  2. それに対して「結果はどうだったか?」(数値だけでなく構造も見る)
  3. 「次にどう改善するか?」(ページ、価格、商品設計、導線に反映できるか)

FBは目的を達成するための“鏡”であり、“学び”の起点です。
「広告が売上のためにある」のではなく、**「売れる仕組みを育てるために広告がある」**という視点を持つことが、広告施策の本質的成功を生み出します。

広告の目的と構造を正しく理解した上で、戦略的にPDCAを回したい方は、食品ECに特化したGastroduce Japanの支援をご活用ください。
貴社の課題・商品特性に応じた戦略設計から運用・FB支援まで一気通貫で対応いたします。

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