食品ECの物流代行会社は数多く存在しますが、どこまでの業務を任せられるかについては食品ECの物流|冷凍・冷蔵の発送代行はどこまで任せられるかで解説済みです。本記事では一歩進んで、実際に複数の物流代行会社を比較検討する際、どの観点で見比べればよいかを整理します。
物流代行会社の選定は、一度契約すると簡単には切り替えにくく、切り替える場合も在庫の移管や出荷体制の再構築に時間がかかります。だからこそ、料金の安さだけで決めるのではなく、自社の商品特性(温度帯・賞味期限・繁忙期の波)に合った会社を、複数の軸で比較した上で選ぶことが重要です。
比較の軸1:対応できる温度帯
物流代行会社を比較する際、最初に確認すべきは対応できる温度帯です。常温のみ対応の会社、冷蔵まで対応する会社、冷凍まで一気通貫で対応できる会社では、設備投資の規模が異なり、対応できる商品の幅も変わってきます。
| 対応温度帯 | 扱える商品の例 | 比較時に確認したいこと |
|---|---|---|
| 常温のみ | 乾物・レトルト・常温保存可能な焼き菓子など | 倉庫の湿度・温度管理の水準 |
| 常温+冷蔵 | チルド惣菜・生菓子・要冷蔵の調味料など | 冷蔵設備の規模と、常温商品との同梱可否 |
| 常温+冷蔵+冷凍 | 冷凍食品・アイスクリーム・冷凍生菓子など | 冷凍設備の規模、複数温度帯の同時出荷対応 |
特に複数の温度帯の商品を同時に扱う店舗は、1つの注文の中に常温商品と冷凍商品が混在するケースがあります。この場合、同梱して発送できるのか、別便になるのかで送料負担が大きく変わるため、比較段階で必ず確認しておく必要があります。
比較の軸2:出荷リードタイム
注文を受けてから実際に出荷されるまでの日数(出荷リードタイム)は、会社によって差があります。当日出荷に対応している会社もあれば、翌々日出荷が基準の会社もあり、この差はモール側が定めるお急ぎ便対応の可否や、購入者からの評価にも影響します。比較の際は、平常時のリードタイムだけでなく、後述する繁忙期のリードタイムがどう変化するかもあわせて確認してください。
また、リードタイムを検算する際は、次の考え方が参考になります。
購入者への到着日数 = 出荷リードタイム(受注〜出荷)+ 配送日数(出荷〜到着)
| 項目 | 会社A | 会社B |
|---|---|---|
| 出荷リードタイム | 当日〜翌日 | 翌々日 |
| 配送日数 | 1〜2日 | 1〜2日 |
| 購入者への到着日数(目安) | 2〜3日 | 3〜4日 |
賞味期限が短い商品を扱う場合、この到着日数の差が、購入者の手元に届いた時点での残り賞味期限に直結します。単純な料金比較だけでなく、この到着日数の差が自社の商品にとってどれくらい重要かを踏まえて判断してください。
比較の軸3:繁忙期の対応力
食品ECは、季節のギフト需要(お中元・お歳暮など)やセール時期に注文が集中しやすいカテゴリです。平常時は問題なく対応できていても、繁忙期に出荷が滞留し、購入者からの問い合わせが急増するケースは少なくありません。比較の際は、繁忙期における出荷キャパシティの上限、追加人員の確保体制、そして繁忙期にリードタイムがどの程度延びる可能性があるかを、具体的な数字で確認しておくことをおすすめします。「繁忙期も対応可能です」という回答だけでなく、過去の繁忙期に実際どうだったかの実績を聞くと、より実態に近い判断材料が得られます。
比較の軸4:システム連携とデータ共有
複数のモール(楽天・Amazon・TikTok Shopなど)に出店している場合、物流代行会社が各モールの受注システムとどこまで連携できるかも重要な比較軸になります。手動でのデータ受け渡しが必要な会社では、モールが増えるほど運用負荷が増していきます。また、在庫数や出荷状況をリアルタイムに近い形で確認できる管理画面が用意されているかどうかも、日々の運用のしやすさに直結します。契約前に、実際の管理画面を見せてもらい、自社が普段使う情報がどこまで確認できるかを確認しておくとよいでしょう。
比較の軸5:返品・返送対応
食品は、配送中の破損や品質劣化を理由とした返品・交換対応が一定数発生します。物流代行会社によって、返品時の検品体制や、返送された商品の再出荷可否(食品は衛生上の理由で再出荷不可とするのが一般的です)の運用ルールが異なります。比較の際は、返品が発生した場合の連絡フローと、どこまでを代行会社が判断・処理してくれるのか、どこからが自社の判断が必要になるのかを、事前に整理しておくことをおすすめします。
見積もり比較で確認したい費用の内訳
物流代行の見積もりは、保管料・入庫料・出荷作業料・資材費・配送料など複数の項目に分かれていることが一般的です。金額そのものは会社や契約内容によって大きく異なるため一概には言えませんが、比較する際は「どの項目が定額制で、どの項目が従量制なのか」「繁忙期に追加費用が発生する項目はどこか」を、複数社の見積もりを並べて確認することをおすすめします。表面上の合計金額だけを比較すると、繁忙期に想定外の追加費用が発生し、結果的に割高になるケースもあるため注意してください。
契約前にトライアル出荷を依頼する
可能であれば、本契約の前に少量のトライアル出荷を依頼し、実際の梱包品質・配送日数・温度管理の状態を自分の目で確認することをおすすめします。特に冷凍・冷蔵商品は、実際に手元に届いた際の温度状態を確認しないと、資料や説明だけでは分からない品質面の課題に気づけないことがあります。トライアル出荷に対応してもらえるかどうかも、比較検討する会社を絞り込む上での判断材料になります。
よくある失敗
| 失敗パターン | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 平常時のリードタイムだけで判断する | 繁忙期に出荷遅延が頻発し購入者からのクレームが増える | 繁忙期の実績・キャパシティ上限を事前に確認する |
| 温度帯の同梱可否を確認しない | 想定より送料負担が増え利益を圧迫する | 複数温度帯の商品を同梱できるか比較段階で確認する |
| システム連携の状況を確認せず契約する | モールが増えるたびに手作業の負荷が増える | 契約前に実際の管理画面と連携範囲を確認する |
まとめ
食品EC物流代行会社を比較する際は、対応温度帯・出荷リードタイム・繁忙期対応力・システム連携・返品対応の5つの軸で見比べることで、料金だけでは見えない実務上の適性を判断できます。特に繁忙期の対応力は、平常時のヒアリングだけでは分かりにくいため、過去の実績を具体的に確認することをおすすめします。可能であればトライアル出荷を依頼し、実際の梱包・配送品質を自分の目で確認した上で、本契約に進むことをおすすめします。
よくあるご質問
Q. 複数の物流代行会社を併用することはできますか?
A. 可能ですが、在庫の分散管理や出荷元の切り分けなど、運用が複雑になる面があります。まずは1社に集約し、必要に応じて拡張を検討する進め方が現実的です。
Q. 繁忙期のリードタイムはどう確認すればよいですか?
A. 過去のお中元・お歳暮シーズンなど、実際の繁忙期にどの程度リードタイムが延びたかの実績を具体的に質問することをおすすめします。
Q. 小ロットの事業者でも対応してもらえますか?
A. 対応可能な会社は多くありますが、最低出荷件数などの条件を設けている場合があります。自社の出荷量を伝えた上で対応可能かを確認してください。
Q. システム連携がない場合はどうすればよいですか?
A. 手動でのデータ連携が必要になるため、モール数が多い場合は運用負荷が増えます。将来的な出店モール数の拡大も見据えて、連携範囲を確認しておくことをおすすめします。