自社工場を持たずに食品を企画・販売する手段として「OEM」を活用する食品D2C事業者が増えています。OEMを使えば製造設備への投資なしに商品化できますが、ロット数や品質管理、表示責任の分担を理解しておかないと、思わぬコスト増やトラブルにつながることがあります。本記事では、食品OEMの基本的な仕組みと、EC・TikTok Shopで販売する際の注意点を整理します。
食品OEMとは|仕組みの基本
OEM(Original Equipment Manufacturing)とは、自社で製造設備を持たず、企画・ブランディング・販売を自社が担い、実際の製造を専門の工場(OEM先)に委託する仕組みです。食品の場合、味や配合のレシピを自社で企画し、製造・パッケージングを工場に依頼するという形が一般的です。自社ブランドとして販売しながら製造は外部に任せられるため、初期投資を抑えて商品化のスピードを上げられる点が特徴です。食品D2Cがオリジナル商品でECやTikTok Shopに参入する際、最初の商品化手段としてOEMを選ぶケースは少なくありません。
OEMを使うメリット
- 初期投資を抑えられる:製造設備や工場の建設・維持費がかからず、企画・販売に資金を集中できる
- 商品化までのスピードが速い:すでに生産ラインを持つ工場に依頼することで、ゼロから設備を整えるより早く商品を市場に出せる
- 専門工場の技術を活用できる:特定の食品カテゴリーに強い工場に依頼することで、自社にない製造ノウハウを活用できる
注意しておきたいポイント
OEMには多くのメリットがありますが、次の点を事前に確認しておかないと、販売開始後に想定外の負担が発生することがあります。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 最小ロット数(MOQ) | 工場ごとに最低製造数量が設定されており、在庫リスクに直結する |
| 食品表示・衛生法上の責任区分 | 販売者・製造者のどちらが表示責任や営業許可を担うかを契約時に明確にする |
| 品質管理体制 | 工場の衛生管理・検査体制を事前に確認し、継続的な品質確認の仕組みを持つ |
| 原材料費の変動リスク | 原材料価格が変動した際の価格見直しのルールを契約に含めておく |
特に食品表示法・食品衛生法上の責任区分は、OEM先に製造を委託していても、販売者(自社)が表示内容の正確性について責任を問われる場合があります。契約前にどちらが何を担うのかを明文化しておくことが重要です【推測】。
EC・TikTok Shopで販売する際に意識したいこと
OEM商品をEC・TikTok Shopで販売する場合、製造を外部に委託していることを理由に発送や在庫管理のスピードが落ちないよう、工場からEC用の物流拠点への納品ルートを事前に設計しておく必要があります。また、TikTok ShopのLIVE配信やGMV MAXのように短期間で注文が急増する販売方法を使う場合は、工場の生産リードタイムと在庫確保のバランスを事前に確認しておくことが欠かせません。TikTok ShopのLIVE配信については「TikTok Shop LIVE配信のGMV MAX設定」で解説しています。
OEM先を選ぶ際の進め方
OEM先を選定する際は、価格だけで決めず、取り扱いたい食品カテゴリーの製造実績、衛生管理の体制、試作対応の柔軟性を比較することが重要です【推測】。複数の工場から見積りを取り、最小ロット数・納期・価格を一覧化して比較すると、自社の販売計画に合うOEM先を選びやすくなります。初めてOEMを活用する場合は、まず小規模な試作ロットで取引を始め、品質と対応を確認してから本格的な発注に進む進め方が安全です。
検算できる例|最小ロット数と在庫消化期間
ある食品D2C店舗の例(店舗名は非公開)として、OEM先の最小ロット数が5,000個、月間の想定販売数が800個だった場合を考えます。
5,000個÷800個/月=約6.3ヶ月。つまり、最小ロット分の在庫を売り切るまでに約6.3ヶ月かかる計算になります。食品は賞味期限があるため、この期間が賞味期限内に収まるかどうかを必ず確認する必要があります。収まらない場合は、ロット数の交渉、賞味期限の長い商品設計、販売ペースを上げる施策のいずれかを検討することになります。
よくあるご質問
Q1. OEMと製造委託(PB)は何が違いますか?
A. OEMは発注者側の企画・レシピをもとに製造してもらう形、プライベートブランド(PB)は工場側が持つ既存商品に自社ブランド名を付ける形を指すことが一般的です【推測】。言葉の使われ方は会社によって異なる場合があるため、契約時に定義を確認することをおすすめします。
Q2. 最小ロット数が大きすぎる場合、交渉の余地はありますか?
A. 工場によって対応は異なりますが、初回のみ小ロットで試作し、販売実績をもとに本格発注のロット数を決める進め方を採用している工場もあります。
Q3. 食品表示の責任は必ず自社が負うのですか?
A. 契約内容によって異なります。販売者と製造者のどちらが表示内容の最終責任を負うかを、契約時に明確にしておく必要があります。
Q4. OEM先の切り替えは可能ですか?
A. 可能ですが、レシピの再現性や品質の安定にはすり合わせの期間が必要になるため、切り替え前には試作・検品の工程を十分に確保することをおすすめします。